スパゲッティーのパンチョが投稿1本目で100万回再生、来店反応を生んだ設計|飲食店のYouTube集客事例

スパゲッティーのパンチョ様は、2012年の創業以来「改めてナポリタンは、うまいと言わせたい。」を掲げるナポリタン専門店です。
2026年1月時点で全国に48店舗を展開しています。
そのYouTubeでは、料理ではなく店舗で働く人を主役にした「1日密着」の動画を続けており、長尺の1本目は100万回再生を突破しました。
本記事では、なぜ料理ではなく「人」を主役にしたのか、代表作2本で何を決め、そこにどんな意図があったのか、そして成果を順に紹介します。

Oisuが参画した時点で、パンチョ様はすでにTikTokでの発信に取り組まれていました。そのうえで次に求めていたのは、何度も来店してくださるお客さまと、行き来のある関係を築くことです。
そのためにご相談いただいたのが、企画や発信する内容を自社で決められ、視聴者が繰り返し見に来てくれるチャンネルを持つことでした。一度きりの接点で終わらせず、見続けてもらう中でブランドの濃いファンを育て、客数の増加にもつなげる。その場として、YouTubeでの運用を始めました。
ここで考えたのは、何を主役にすれば見続けてもらえ、ブランドへの関心にもつながるかでした。料理ではなく「人」を主役に選んだ理由は、2つあります。
1つ目は、人の魅力は1本の動画では伝わりきらないことです。
料理の魅力は1本の中で伝わりきるため、おいしそうだと感じてもらえても、次の動画を見る理由は生まれにくいものです。
一方、人については「この人は普段どんな様子なのか」「ほかの店舗にはどんな人がいるのか」という関心が残ります。その関心が次の動画を見る理由になり、その人が働く店舗を訪れる理由にもなり得ます。
2つ目は、人の行動そのものが、会社の価値観を伝えることです。忙しい時間にどう動くか、お客さまにどう接するか、スタッフ同士がどう声をかけ合うか。「スタッフを大切にする会社です」と言葉だけで伝えるよりも、現場での実際の行動の場面を見せるほうが、ブランドの姿は伝わります。
そのためチャンネルは、出演者を新しく演出するのではなく、現場にすでにいる人の魅力を見つけて記録するドキュメンタリーとして設計しました。
撮影には店舗スタッフや役職者の皆さまにご出演いただき、Oisuはアカウントコンセプトの策定、動画の企画・制作、視聴データの分析を支援しています。
この方針を最初の1本に落とし込んだのが、次の動画です。
【1日密着】1日400食を笑顔で捌く最強バイト女子の1日がハードすぎた。
企画から編集までの中で、特に意図をもって決めたことは3つあります。
「最強バイト女子」は目を引く一方で、誇張と受け取られるおそれもある言葉です。それでもこの言葉を選べたのは、主役のスタッフの方が実際に高い業務能力を持っていたからです。
また、「すごい」と伝える役は、制作側ではなく一緒に働く同僚のスタッフの方にお願いしました。作り手が言うと誇張に聞こえる言葉も、隣で働く人の言葉なら信じてもらえます。動画では、同僚の評価、ピーク時の動き、接客の様子を重ね、視聴者が「確かに最強だ」と自分で納得できる順番に並べました。言葉を先に決めて人物を当てはめるのではなく、人物の事実から言葉を選ぶ順番です。

タイトルには「1日400食」「最強バイト女子」「ハードすぎた」という言葉を入れました。仕事量、人物像、現場の過酷さが、動画を見る前に伝わるようにするためです。
冒頭では、その期待に応える形で、現場の忙しさと熱量を一気に見せています。タイトルで生まれた期待にすぐ応えることで、「思っていた内容と違う」と感じさせず、その先も見続ける理由をつくる狙いです。

飲食店の現場の忙しさは、それだけで見応えのある場面です。ただ、忙しさを刺激として見せるだけでは、視聴者の感想は「大変そう」で止まります。
そこで忙しい場面は、その人の能力や仕事への姿勢が表れる場面として扱いました。ピーク時の作業で尊敬を生み、その合間に本人の言葉や働き方の背景、接客の場面を置いて共感を深める。この緩急によって、「すごい人だった」という感想を「この人をもっと見たい」に変えることが、編集の意図です。
1本目が現場スタッフへの憧れや応援を生む動画だとすると、次に紹介する動画で狙ったのは、会社そのものへの信頼です。
【1日密着】パンチョの偉い人がバイトで現場潜入…想像を絶する現場の過酷さに「みんなありがとう」
「偉い人が現場に入る」企画は、慣れない仕事に戸惑う姿を見せるだけでも成立します。ただ、それではギャップの面白さで終わり、会社の姿までは伝わりません。主演の方は現場からキャリアを築いてきた方だったため、挑戦する人ではなく、現場を知り、スタッフと一緒に働く人として描きました。
この人物像は、現場を経験して管理する立場になった人や、部下を持つ人が自分を重ねやすいものです。パンチョ様をまだ知らない人にも、働き方や組織のあり方への関心から見てもらえる入口になります。
最後を「感謝」で締めたのも、同じ意図からです。現場の過酷さを見せたあと、役職者の方がスタッフに感謝する場面で終えることで、「現場を大切にしている会社です」と説明しなくても、視聴者が自分で会社の姿を受け取れる構成にしました。
1本目の動画は100万回再生を突破しました。その型は、新人、店長、ベテランのアルバイトスタッフと主役を変えながら、「1日密着」シリーズとして続いています。2026年10月22日時点の主な数値は次のとおりです。

※シリーズの集計対象は、2025年4月9日から2026年7月24日までに公開した、タイトルに「1日密着」を含む長尺動画です。
YouTubeの収益化条件も達成しています。そのうえで、ここまでの意図との関係で注目したいのは次の2点です。
出演したスタッフの方を目的に、店舗を訪れる視聴者が現れた。 料理やキャンペーンではなく、「動画に出ていた人に会いたい」という気持ちが来店のきっかけになりました。人を主役にした狙いが、店舗まで届いた反応です。
主役を変えても、10万回再生を超える動画が生まれている。 2本目の役職者の方をはじめ、新入社員や店長など、主役を変えた動画からも10万回再生を超えるものが複数生まれています。特定の1人に頼らず、現場にいる人の魅力を見つけて記録する型として機能している点も、この設計の特徴です。
パンチョ様のYouTubeで目指したのは、見続けてもらう中でブランドの濃いファンを育てることでした。そのために料理ではなく働く人を主役にし、強い言葉は事実で裏づけ、忙しさは人柄を伝える材料として編集しています。
この事例から持ち帰れるのは、「1日400食」「最強バイト女子」といった言葉そのものではありません。自社で人を主役にした動画を考えるときは、次の問いから始めてみてください。
自社らしさが最も表れているのは、誰のどんな行動か
動画を見た人に、店や会社をどう感じてもらいたいか
見たあとに、検索や来店など、どんな行動につなげたいか
特別な人物を探すことよりも、現場にいる人の魅力を見つけ、視聴者が理解できる順番に並べること。それが、自社にしかつくれない企画の出発点になります。
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