SNSマーケティングのファネルは「出口」から設計する|投稿・媒体・進む先の役割の分け方

SNSマーケティングのファネルは、SNSで最終的に得たい成果、つまり「出口」から逆算して設計するのがおすすめです。
最初に考えるのは、どんな動画を作るか、どの媒体を使うかではありません。
「誰に、どんな状態になってほしいのか」を決め、そこに至るまでに必要な段階を整理します。そのうえで、各段階を支える媒体と投稿を選び、役割に合った数字で効果を確かめます。
この順番で考えると、SNSに何を任せ、どんな効果を期待するのかが明確になります。再生数が伸びたかどうかだけでなく、求める成果までのどこが進み、どこで止まっているのかも判断しやすくなります。
この記事では、集客・採用・認知に共通する、SNSのファネルの組み立て方を解説します。
連載「流れで考えるSNSマーケティング」について
Oisuはこれまで、飲食、美容室、美容クリニック、不動産、教育、エンタメなど、業種の異なる企業のSNSを、認知・集客・採用それぞれの目的で支援してきました。その経験から、SNSは投稿や動画を1つずつ見るより、目的から成果までの流れで見たほうが判断しやすいと考えています。この連載では、その流れを順に解説します。
意味と目的:企業はなぜSNSで発信するのか
流れ:知ってもらってから出口までを段階で設計する(この記事)
数字:SNS運用を結果までどう結びつけるか
集客:来店・予約・購入につなげる発信
採用:応募と入社後の定着につなげる発信
認知:会社や商品の見られ方を変える発信
制作と運用:企画から分析までを一続きで回す
体制:どこを自社で担い、どこを任せるか
第1回の記事では、再生や表示など相手に見てもらうことを「入口」、SNSを通じて最終的に得たい成果を「出口」と呼びました。この記事で扱うのは、その入口から出口までを、どうつなぐかです。
ファネルとは、自社を知った人が、求める成果に至るまでの流れを、相手の状態に応じて段階に分けて捉える考え方です。
段階を分けるときは、「動画を見た」「プロフィールを開いた」といった操作だけでなく、「いま何を知っていて、次に何を確かめたいのか」に注目します。操作が同じでも、初めて会社を知った人と、すでに購入や応募を考えている人では、必要な情報が違うからです。
ここでは、行動につなげる場合の基本形を、次のように整理します。

設計するときは、表の下からさかのぼります。
たとえば、出口が飲食店の「予約」なら、直前には空席や予約方法が分かる必要があります。その前には、料理や価格、店内の雰囲気を見て、自分の利用目的に合うか確かめられることが必要です。さらに手前には、その店を知り、行ってみたいと思うきっかけが必要になります。

出口を決めると、その手前で相手が何を判断できればよいかが分かります。それをさかのぼって整理することが、ファネルを設計する出発点です。
なお、全員がこの順番どおりに進むわけではありません。複数の投稿を行き来したり、検索や口コミで確かめたりする人もいます。段階を分けるのは、実際の動きを一本道に決めつけるためではなく、成果に至るまでに必要な情報や接点の不足を見つけるためです。
ファネルの起点になる出口は、SNSを使う目的によって変わります。「集客したい」「採用したい」「認知を広げたい」を、誰にどんな行動や変化を求めるのかまで具体化しましょう。

ここで大切なのは、まず主な出口を1つに決めることです。
採用なら、今回の運用で見学申し込みまでを目指すのか、応募までを目指すのかで、必要な情報も見る数字も変わります。「採用につなげる」とだけ置かず、どこまで進んだら成果とするかをそろえておきます。
認知を目的にする場合も同じです。「多くの人に見られる」だけでなく、
「出店エリアの人に店名を知ってもらう」
「この分野に強い会社として覚えてもらう」
など、"誰に何を知ってもらいたいのか"を明確に決めます。
この場合は、予約や応募を必須の終点にせず、狙った認知の状態を出口に置きます。

出口が決まったら、興味を持った人が次に進む先を用意します。候補は、予約ページ、商品ページ、採用ページ、LINE公式アカウントなどが挙げられます。
選ぶ基準は、その場所で次の行動を迷わず取れるかどうかです。予約を増やしたいなら予約できるページへ、見学申し込みを増やしたいなら見学の案内と申し込み方法が分かる場所へ案内します。
同じ対象者に同じ行動を促す投稿では、主な案内先をそろえましょう。プロフィールや固定投稿からも、その場所へ進めるようにしておきます。
また、「投稿で関心を持った内容を、進んだ先でも確かめられること」が大切です。
動画で見た料理を予約先でも確認できる。
社員の働き方に惹かれた人が、採用ページでもその仕事や社員について詳しく知れる。
こうした情報の結びつきが、情報を「確かめる」段階から、実際に「動く」にあたっての橋渡しになります。

出口と進む先が決まったら、次は、その成果を得るためにどの媒体を使うかを考えます。
YouTube、TikTok、Instagramなど、SNSの運用では複数の媒体が候補に挙がります。ただ、「他社も使っているから」「多くの人に届きそうだから」という理由だけでは、自社の目的に合うかを判断できません。
媒体を選ぶ基準は、届けたい相手に、出口へ進むために必要な情報を届け、次の行動につなげられるかです。出口までの流れに照らして、次の4つを確認しましょう。

まず確かめたいのは、届けたい相手がその媒体を使っているかです。
利用の有無に加えて、どのような情報を探し、何を楽しむために使っているかまで見ておきます。同じ人でも、媒体を開く目的によって、受け取りたい内容は変わるからです。
次に、その相手が出口へ進む前に、何を確かめる必要があるかを考えます。
商品の購入が出口なら、使い方や使用感が判断材料になるかもしれません。
採用への応募が出口なら、仕事内容や働く人、育成の様子を知ることが必要になります。
「出口に向かうための判断材料を、相手に伝わる形で見せられるか」が、媒体との相性を考える基準です。
そのうえで、出口までのどの段階を強くしたいかを整理します。まだ自社を知らない人との接点が足りないなら、「知る」きっかけを作れることを重視します。興味を持つ人はいるものの、予約や応募に進まないなら、詳しく確かめてもらう情報や、次の行動へのつながりを確認します。
では、一例として美容室が美容学生からの応募を増やしたい場合を考えてみましょう。

まず、美容学生が普段どの媒体でサロンや美容師の情報に触れているかを確かめます。
次に、就職先を選ぶ前に知りたい仕事内容や練習の様子、先輩との関係を、その媒体で伝えられるかを見ます。
さらに、関心を持った学生が、採用ページや見学の申し込み先へ進めるかも確認します。
こうして選ぶと、「動画を投稿できるから使う」から一歩進んで、「美容学生と接点を持ち、応募前に職場を確かめてもらい、見学や応募へつなげるために使う」と、媒体を選ぶ理由を説明できるようになります。
なお、媒体名だけで担う役割が決まるわけではありません。
対象者の使い方や投稿内容、すでにどの程度知られているかによって、同じ媒体でも任せられる役割は変わります。対象者への聞き取りや実際の反応を通じて、想定した役割を果たせるかを確かめていきましょう。
大切なのは、出口を実現するために必要な条件を決め、その条件に合う媒体を選ぶことです。媒体が決まったら、次は、任せた役割を果たすために何を投稿するかを具体化していきます。

媒体の役割が決まったら、次はその中に置く投稿を考えます。
投稿を企画するときの問いは、「何を投稿しようか」よりも、
「どの状態にいる人に、何を伝え、次にどんな状態になってもらうか」です。
媒体に任せた役割を、具体的な投稿の内容に落とし込んでいきます。
多くの場合で基本となるのは、
「知る・興味を持つ」を支える広げる投稿
「確かめる」を支える理解を深める投稿
の、2つの種類の投稿によって構成されます。
そこに、次の行動を案内する投稿やプロフィール、固定投稿を組み合わせます。

たとえば、商品の使い心地に関心を持った人には、見た目の印象だけでなく、使う場面や選び方を伝える投稿が判断材料になります。
美容室で働くことに関心を持った学生には、先輩の紹介に加えて、練習の進め方や入社後の仕事を確かめられる投稿が必要です。
認知を目的にする場合も、目を引く投稿で接点を作り、その会社や商品をどんな特徴と結びつけて覚えてほしいのかが伝わる投稿を組み合わせます。
1本の投稿が複数の役割を持つことはあります。
それでも、企画するときには主な役割を決め置くことが重要です。
広く知ってもらう投稿と、詳しく確かめてもらう投稿では、取り上げる情報や見せる順番が変わるからです。
そして、投稿単体だけでなく、見た後のつながりも確認します。詳しく知りたくなった人が、プロフィールから関連情報を見つけられるか。判断材料がそろった人が、申し込み先へ進めるか。投稿と、その次の接点をセットで設計することで、ファネルの段階がつながります。

SNSのファネルを設計することは、相手が目指す行動や状態に至るまでの段階を整理し、その変化を支える役割を媒体や投稿に割り振ることです。
自社の運用に当てはめるときは、次の順番で考えてみてください。
出口を決める:誰に、どんな行動や状態に達してほしいかを具体化する
段階を分ける:出口からさかのぼり、相手が何を知り、何を確かめる必要があるかを整理する
媒体を選ぶ:相手との接点、必要な情報との相性、次の行動へのつながりから、各段階を支える媒体を選ぶ
投稿を設計する:担当する段階に合う内容を届け、次の接点につなぐ
この流れがつながると、「なぜこの媒体を使うのか」「なぜこの投稿を作るのか」「見た人に次は何をしてほしいのか」を、出口から説明できるようになります。
SNSに何を任せ、どんな効果を期待し、最終的に何を得たいのか。その関係を整理することが、運用の判断をそろえる土台になります。
出口までの流れを設計したら、次は、その流れが実際に機能しているかを確かめることが必要です。連載の第3回では、各段階でどんな数字を見て、どう目標を置き、結果を改善につなげるかを解説します。

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