企業がSNS運用をする意味とは?「SNSだから」伝えられることと、魅力を最大化する発信設計

「とりあえずSNSはやっておこう」
そんな時代の空気を感じたことはないでしょうか。企業のSNS運用が当たり前になりつつあるいま、改めて考えたいのは、「そもそも企業がSNSを使うとどんなメリットがあるのか」です。
Oisuは、その答えを「人と場面」を見せられることにあると考えています。この記事では、それを成果につなげる発信の考え方を解説します。読み終えるころには、自社がSNSで何を伝え、何につなげたいのか、見当がつくはずです。
連載「流れで考えるSNSマーケティング」について
Oisuはこれまで、飲食、美容室、美容クリニック、不動産、教育、エンタメなど、業種の異なる企業のSNSを、認知・集客・採用それぞれの目的で支援してきました。その経験から、SNSは投稿や動画を1つずつ見るより、目的から成果までの流れで見たほうが判断しやすいと考えています。この連載では、その流れを順に解説します。
意味と目的:企業はなぜSNSで発信するのか(この記事)
流れ:知ってもらってから出口までを「段階」で設計する
数字:SNS運用を結果までどう結びつけるか
集客:来店・予約・購入につなげる発信
採用:応募と入社後の定着につなげる発信
認知:会社や商品の見られ方を変える発信
制作と運用:企画から分析までを一続きで回す
体制:どこを自社で担い、どこを任せるか

その「当たり前」は、数字にも表れています。東京商工リサーチが2023年に全国の企業を対象に行った調査(有効回答4,947社)では、自社のSNSアカウントを運用している企業は45.1%と、半数近くにのぼりました。
見る側については、多くの人がSNSを使っていることは、改めて確かめるまでもないように思えるかもしれません。その実感は、調査の数字とも一致します。総務省の令和7年通信利用動向調査(2025年8月末時点)では、インターネット利用者のうち、SNS(LINEやInstagram、Xなどを含む)を利用している人は82.3%でした。
インターネットを使う人の8割以上が、SNSを使っている。Oisuは、企業がSNSで発信する土台はここにあると考えています。
ただし、取り組めば成果が出るとは限りません。同じ東京商工リサーチの調査で、SNSを運用している企業に効果を尋ねると(複数回答)、32.2%が「会社のイメージが向上した」と答えた一方で、29.3%は「特に効果は得られなかった」と答えています。Oisuは、差がつくのは、取り組んでいるかどうかより、どう取り組むかだと考えています。
SNSで発信するときに、Oisuが基準にしているのは次の3つです。
文字や写真では伝わりにくい「人と場面」を見せる
自社が伝えたいことと、相手が知りたいことが重なるところから考える
出口、つまりSNSで最終的に得たい成果から逆算する
ここからは、この3つを順に説明します。
企業が自社の魅力を伝える手段は、SNSだけではありません。Webサイト、求人票や求人媒体、予約サイトや比較サイト、SNSの動画や広告など、いくつもの手段があり、それぞれに得意な役割があります。その中でSNSの動画や広告が担うのは、「人と場面」を日常の中で届ける役割だと、Oisuは考えています。
Webサイト、求人票、予約サイトなど、手段によって得意な役割が異なるため、「どんな役割を、何に持たせるか」を、一度確認してみましょう。

1つで済ませるより、役割を分けて組み合わせたほうが、相手に段階を追って判断してもらいやすいというのが、Oisuの考えです。たとえば、SNSで興味を持った人がWebサイトや求人ページで詳しく確かめ、予約や応募へ進む、という流れです。
役割を分けるときは、同じ内容を各手段へそのまま載せ替えないようにします。条件や料金はWebサイトや求人票に、人と場面はSNSにと持たせ分けたうえで、SNSで興味を持った人が進む先を1つに決めておきます。興味を持った人が、いくつもの手段を自分で追いかけてくれるとは限らないからです。進む先がそろっていれば、どこから来た人がどこまで進んだかも追いやすくなります。

SNSだからこそ伝えられるもの。Oisuはそれを、文字や写真では伝わりにくい「人と場面」だと考えています。
その場の空気、話す人の声のトーンや表情、何気ない会話、そしてどんな人が働いているのか。Webサイトや求人票は、情報や条件を正確にまとめて伝えるのが得意な手段です。一方で、こうした要素は、文章で説明を重ねても伝わりにくいことがあります。動画なら、作り込んだ説明に頼らず、場面そのものを見せられます。
たとえば、忙しい時間帯に働く人がどう動き、周りとどんな言葉を交わしているのか。その様子が見えれば、相手は会社や店の雰囲気を、企業が言葉で語るより先に、自分の目で確かめられます。
では、Webサイトや求人票に写真や動画を載せれば、同じように伝えられるのでしょうか。Oisuは、SNSならではの意味は、見せ方に加えて「届き方」にあると考えています。Webサイトや求人票は、会社名や求人を知った人が、自分から確かめに来る場所です。SNSなら、まだ自社を知らない人の日常の中に、人や現場の場面を届けられる場合があります。
ただし、届いた場面を見てもらえるかどうかは、相手にとって見る理由があるかで変わります。費用をかけて届ける相手と量を設計したい場合は、広告も選択肢の1つです。
一度の紹介で終わらず、投稿を重ねることで、さまざまな場面を少しずつ見せていけます。入口で興味を持った人が、続く投稿で人柄や仕事ぶりを知り、信頼を深めていけるよう、投稿を組み立てられます。この積み重ねまで含めて、SNSだからこそできる伝え方です。
Oisuは、SNSを運用する意味を「文字や写真では伝わりにくい人と場面を、相手の日常の中に、決める前に確かめられる材料として置いておくこと」だと考えています。
では、SNSで見せる「人と場面」は、どこから考えていけばよいのか。次の章で整理します。

Oisuは、SNSで見せる「人と場面」を、自社が伝えたいことと、届けたい相手が知りたいことが重なるところから考えることをおすすめしています。
ここでいう「重なるところ」とは、自社が見てほしい姿と、相手が判断のために知りたいことが、1つの場面の中で両方満たされるところです。会社が伝えたいこだわりも、言葉で説明するだけでは、相手には届きにくいことがあります。けれども、相手が知りたい「実際にどんな人が、どんなふうに働いているのか」という場面の中で見せれば、そのこだわりを、相手が自分で確かめられる証拠として見せられます。
重なりを探すときは、自社の側から「伝えたいこと」を、相手の側から「判断するために知りたいこと」を書き出し、両方に当てはまる場面を探すのが出発点です。ただし、自社が思っている魅力と、見た人が実際に反応する魅力は、ずれることがあります。最初に見つけた重なりは仮のものとして置き、社外の人の意見や、少数の投稿での反応を見ながら確かめていきます。
重なりが見つからないときは、伝えたいことを、相手の課題や変化、意外なギャップなど、相手が見る理由になる形に置き換えてから考えるとよいでしょう。

相手が知りたいことに応える材料は、自社の中にあります。その会社、その人、その現場だから成立する魅力です。Oisuは企画の段階でこの魅力を決め、撮影で表情や関係性、現場の様子まで素材として残すようにしています。
他社で伸びている動画は分かりやすい手本なので、つい形式から真似したくなるものです。ただ、形式だけをなぞっても、自社ならではの魅力が素材に残っていなければ、見る理由は生まれにくくなります。参考にするのは形式までにとどめ、何を見せるかは自社の事業と相手から決めることで、自社だからこそ表れる魅力を引き出すことができます。
重なるものの中から何を選ぶかの基準になるのが、出口です。SNSの発信は、入口から出口までの流れで考えます。入口は、再生や表示など、相手に見てもらうこと。出口は、SNSを通じて最終的に得たい成果です。
再生数やフォロワー数は入口で「相手に届いたか」を確かめる数字として扱い、出口から逆算して、何を発信するかを決めます。
出口、つまりSNSで最終的に得たい成果は、企業によってさまざまです。来店や予約、購入を増やすこと、応募を集めて入社後の定着につなげること、会社や商品の見られ方を変えて選ばれる理由を伝えること、既存のお客様とのつながりを保つこと、チャンネルそのものを収益の柱に育てることなどが挙げられます。その中でも、Oisuが支援する企業の目的として大きいのは、認知・集客・採用の3つです。認知を出口にする場合も、再生数そのものより、会社や商品の見られ方が変わり、選ばれる理由が伝わったかを成果として見ます。
Oisuがまず主な出口を1つに決めるのは、出口によって見せるものや確かめる数字が変わるからです。主な出口が定まらないと、投稿ごとに誰に何を伝えたいのかがぼやけやすくなります。
そのコンテンツが複数の目的を持つ場合は、1本の投稿に混ぜず、シリーズや媒体ごとに役割を分けて受け持たせるとよいでしょう。それぞれの出口での発信の仕方は、今後の記事で詳しく取り上げます。
先に決めた4つの問いの答えに、どの出口へつなげたいかを加え、始める前に一文で言える状態にしておくのがおすすめです。誰に届けるか、最終的にどの出口へつなげたいか、そのために見た後に自社をどう見てほしいか、動画で何を見せるか。この一文が、魅力を最大化して発信するための設計図になります。

Oisuは、企業がSNSを運用する意味を、文字や写真では伝わりにくい「人と場面」を、相手の日常の中に、決める前に確かめられる材料として置いておけることにあると考えています。その力を成果につなげるために、Oisuが基準にしているのは、冒頭で挙げた次の3つです。
人と場面を見せる:文字や写真では伝わりにくい空気や表情、働く人の姿を、動画で場面として届ける
重なるところから考える:自社が伝えたいことと相手が知りたいことが重なる場面を探し、その会社・その人・その現場だから見せられる魅力を中心に置く
出口から逆算する:主な出口を1つに決め、そこから何を発信するかを選ぶ
出口が決まったら、次に考えたいのは、相手に知ってもらってから出口に至るまでの流れです。連載の第2回では、認知から成果までを段階に分け、投稿や媒体にどんな役割を持たせるかを解説します。

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東京商工リサーチ TSRデータインサイト「企業のSNSアカウント、大企業でも半数が『運用せず』 さらに運用企業の3割が『効果得られない』 2023年『企業のSNS運用に関するアンケート』調査」(2023年8月21日):https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197920_1527.html
総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」(2026年5月29日):https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/260529_1.pdf
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